XSR900 ブレーキ清掃。 「赤子泣いても蓋押すな」
お題「#おうち時間」
今まで新車で買ったバイクは原付、セロー、XSRの3台。思えば、その中でバイク屋の点検に出したことがあるのはXSRの初回点検のみ。そしてその時さえもオイル交換は自分でやりました。
XSRも購入から早1年が経ち、12ヶ月点検の時期も過ぎてしまいました。どうせ自分でやってしまうので出しませんが。
終わらない我慢ウィークを有意義に過ごすため、XSRの整備をやっていきましょう。
色々やりたいことはありますが、今回はとりあえず、最近少し鳴くようになっていたブレーキキャリパーを清掃しました。
フロント
まずは右側から。もちろん左から始めても構いません。
右側にはABSのセンサーがあるので抜きます。カバーがされているので外しましょう。
錆、、、?
まあ、とりあえず次に進みましょう。センサーは傷が付いたらいけないので適当な布か何かで養生しておきます。
次にフェンダーに固定されているホース類を外していきます。
キャリパーをフォークに固定しているボルト2本を抜きます。この時、抜く前にキャリパーを置く台を準備しておくとスムーズに作業ができます。
錆、、、?
キャリパーが外れたらパッドピンを、、、外れない。SRの時は何もしなくても固定が外れたのに。
調べると、パッドピンを留めている2本のベータピンを抜かないといけない模様(下の写真の赤丸部分)。ペンチで引き抜きます。
ようやくパッドピンが抜け、キャリパーからブレーキパッドが外れました。
バラバラになった部品やキャリパーを水でバシャバシャと水洗いします。
綺麗になりました。
別に水で洗わなくてもブレーキクリーナーで洗浄してもかまいません。でも、とんでもない量のクリーナーが必要になるので、大富豪以外は水で洗いましょう。
水気を取ったら、ブレーキキャリパーのピストンの揉み出しをします。
ブレーキレバーを握ると、キャリパー内のピストンが飛び出てきます。何回かレバーを握ってピストンを出し、汚れを拭き取って指でピストンを押し戻します。
この時注意しないといけないのが、何も考えずにレバーを握りまくると、ピストンがどんどん出てきて、最終的にはピストンが抜けてブレーキフルードが「ドバー」っと出てきます(SRで経験済み)。
また、ピストンを指で押し戻すと、他のピストンが圧力で押し出されてきます。押し出されるということは、気を付けないとピストンが抜けるということです。少しずつまんべんなく押し戻していきましょう。
レバーを数回引いてピストンを押し出す→少しずつ押し戻し、すべてのピストンを奥まで戻す→レバーを数回引いてピストンを押し出す→少しずつ押し戻し、すべてのピストンを奥まで戻す、、、
これを気が済むまでやり続けましょう。
気が済んだら、ピストン外側にシリコングリスを薄く塗って、一番奥まで押し戻します。ピストン内側にもシリコングリスを薄く塗ってやります。
そして、ブレーキパッド裏側にパッドグリスを塗ります。でも僕は持っていないのでいつもウレアグリスを薄く塗っています。
そしたら外した時と逆の順番で組み立てて、フォークに戻します。
サービスマニュアルを持っていないので、キャリパーを固定するボルトの締め付けトルクが分かりません。ネットで調べてもいまいち分からなかったので、他車種の情報を参考にして34N・mで締めました。
後はABSセンサーを取り付けて右側は終了。ブレーキレバーをニギニギしてピストンを出し、ブレーキパッドをディスクに接触させましょう。これをしないとブレーキが利きません。
左側も同じ手順でバラして清掃していきます。右側との違いは、ABSセンサーがないというところだけ。
輝きがまぶしい。
リア
リアはキャリパーが1つだけなので簡単簡単。
まずはフロント同様にABSセンサー(下の写真の赤丸部分)を外します。
ホース類の固定を外します。
次に、パッドピンを留めているビスを外し、ピンを緩めておきます(キャリパーを外してからだと固くて外れなさそうなので)。
そしたらキャリパーを留めている2本のボルトを外しましょう。
なぜかこちら(左側)は六角レンチで、
こちら(右側)はソケットレンチが必要です。分ける意味って何なんでしょうか。
キャリパーが外れたらフロントと同じく水洗いします。
綺麗になりました。
ところで、SRの時は、この写真で言うところの小指の場所のパーツにグリスを充填していました。でも今回はいまいち外し方が分からないので触っていません。
さて、次はピストンの揉み出しをするためブレーキペダルを数回踏み、ピストンを指で押し、、、戻らない。どれだけ力を入れても戻らないし、ゴムハンマーで叩いてみてもビクともしない。
こういう時はネットで調べましょう。
曰く、ピストンが戻らない時はウォーターポンププライヤーで戻せばいい、と。一般家庭にはありません。
また、マスターシリンダーの蓋を開けておけば圧力が逃げるので戻りやすいともありました。試してみましょう。
この時、フルードをこぼさないように細心の注意を払わないといけません。フルードは塗装面に対して攻撃性があり、垂れてしまうと塗装が剥がれます。
万が一こぼれてしまったらすぐに水をかけましょう。フルードは水で分解されるのです。
ま、ブレーキ清掃でここをこぼすアホはいまい。
さて、これでなんとかピストンが押し戻、、、りません、やっぱり。
こうなったら力技です。タイヤレバーを使い、体重をかけて押し戻します。
なんとか戻りました。
この要領で揉み出しを続けます。
するとふと、ピストンを奥まで押し込んだ時に、戻ったフルードでマスターシリンダーの中蓋が押し上げられていることに気付きました。気になるので中蓋を押し戻します。
コポッ
ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
本当にアホです。マスターシリンダーからフルードが少し溢れました。すぐに水拭きして垂れたフルードを流します。
今回の教訓は「ピストンしゅこしゅこ、中パツパツ、赤子泣いても蓋押すな」に決定です。
そんなこんなで綺麗になったキャリパー(相変わらずピストンは指では戻せない)。要所要所にシリコングリスを塗ってやって、組み立てて元に戻します。
、、、と書いている今思ったんですが、ピストンが戻らないのは、もしかしたらバックステップに換装した時にブレーキのセッティングをいじったのが原因かもしれません。また今度確認しましょう。
フロントと同じく、リアのキャリパーを固定するボルトも締め付けトルクが分かりません。なのでこちらも他車種の情報を参考にして24N・mで締めました。ただ、左側のボルトは、ヘックスビットを持っていないので手ルクレンチでそれっぽく締めています。
最後に、万が一フルードが残っていた場合のため、リア回りに水をぶっかけました。もちろんブレーキペダルを踏んでパッドをディスクに押し付けるのも忘れずに。
本当は数km程度試運転に行きたかったのですが、雲行きが悪くなってきた(空も家族も)ので諦めて後日に回します。
終わりに
ブレーキの清掃は時間さえかければ割と簡単にできます(OHとなると専用工具等必要ですが)。ただし、ブレーキ周りは保安部品です。自分でやる場合はきっちりと手順を調べてやりましょう。
ブレーキ清掃の注意点(おさらい)
- ピストンの揉み出しをする時は、レバーを何度も握りすぎない。
- ピストンを押し戻すと、他のピストンが出てくる。
- 上記どちらにしても、ピストンが限界まで出てしまうと抜けて、フルードが漏れてしまう。
まずはこれに気を付けましょう。ここさえ守ればなんとかなります。その上で、
- 万が一フルードが漏れたらすぐに水で流す。
フルードは塗装面に対して攻撃性があります。すぐに水をかけて無力化しましょう。
ABS車は以下にも注意!
万が一ピストンを出しすぎてフルードをお漏らししてしまった場合、絶対にキーをオンにしてはいけません。
ABS車はキーオンの度にABS装置を作動させています。その時にフルードのホースに空気が入っていると、ABSのラインに空気が入ってしまい、ABSが利かなくなってしまいます。もしそうなってしまったら、サンデーメカニックには修理不可能です。すぐに水をぶっかけて、バイク屋に引き取りに来てもらいましょう。
まあ、ABS車でなくてもお漏らししてしまったらすぐにバイク屋に連絡しましょう。
今回の所要時間、約3時間。走行距離5708kmで実施。