短足によるXSR900のインプレ。
XSR900に1年間乗ってみての感想。パワーや足着きなど、中型からのステップアップでXSR購入を検討している人が気になりそうな内容を、元単気筒乗りの視点で書いてみました。
※短足用ショートカット→ 超短足による足つきレポ
パワー
納車すぐの頃「(STDモードで)速っ!全開のAモードなんかいつ使うんだ」
今「(Aモードで)まあ850ccってこんなもんか」
納車すぐの頃はとんでもないモンスターマシンのように思いましたが、慣れるとそうでもない感じ。慣れって恐ろしい。もちろん、スロットルをガバ開けすれば瞬時に別世界にワープできます。
出力モードについて
XSR900は出力モード(D-MODE)を切り替えることができます。
- Aモード:全開
- STDモード:抑え目
- Bモード:やる気あんの?
って感じです。
他のXSR乗りの中には「Aは過激すぎ。普段はSTD、なんならBでも十分」と書いている方もいますが、僕は『そうかなぁ?』と感じます。
たしかにAモードはスロットル操作に敏感になりますが、だからと言って無茶なアクセルの開け方をしなければ危険なわけでもありません。
ちなみに、何かのバイク雑誌のサイトで、テスターが「XSR700は、XSR900のSTDモードのパワーに近い」と書いていた記憶があります。なので、STDモードはだいたい80馬力くらいに抑えられているってことなのでしょうか。Bモードは、僕の感覚ではだいたい400ccくらいのパワー感かなぁって感じです。
なのでBモードにすれば高回転まで回せますが、、、Bで上まで回しても大して気持ちよくない。
僕は普段はA、泊を伴うツーリング時は燃料消費を抑えて航続距離を稼ぐためにSTD、Bは基本的に使いません。AやSTDに慣れてしまうと、Bで走ると加速時にものすごく違和感を覚えてしまうのです。
トラコンについて
また、XSR900にはトラコンもついています。強・弱・OFFの3段階から選べるのですが、正直こっちはよく分からないです。よく「トラコンは効きすぎるとスポーツ走行時に違和感がある」と言いますが、残念ながら僕にはトラコンの仕事を感じ取れる程の腕も感覚もありません。
一応、晴天時は弱、雨天や荒れた道路を走行するときは強、って感じで切り替えています。まあ、精神安定のためのお守りですね。
三気筒について
排気音「ドコドコドコドコドコドコドコドコドコ(ビュルルルルルルルルル)」
二気筒のドコドコ感と、四気筒のビュルルル感が混ざった、不思議なエンジン。回すと四気筒っぽくなりますが、決して「フォーン」という音にはなりません。濁った四気筒、って感じでしょうか。
あと、振動は確実にあります。僕はSRで慣れているので気になりませんが、四気筒ばかり乗り継いできた人はたぶん気になるんじゃないでしょうか。
乗り心地
納車すぐの頃「これがスポーツ車のサスの硬さか!(感動)」
慣れてきた頃「硬すぎ!跳ねすぎ!」
サス調整後「(やわやわのSRと違って)硬めのサスって良いなぁ」
ネットにXSR900のサスは硬すぎるとよく書かれていますが、たしかにそうだと思います。コーナリング中にギャップを踏んだ時なんかは神に祈るほどでした。
ただ、ネットで見つけた情報を基にプリロード調整と減衰調整(かなり柔らかくしました)をしてからは、だいぶ乗りやすくなりました。
どのくらい変わったかというと、家の近くにある高架の継ぎ目が結構段差になっています。そこを通る時、調整前は「ドンッ」という衝撃があったのが、調整後は「トン」くらいまで優しくなりました。ちなみに同じ場所をフルノーマルのスイフトスポーツ(2016年式)で通ると「ガンッ」くらいの衝撃でフレームが痛みそう。
足着き
納車すぐの頃「シートは高いけど車重が軽いから立ちゴケの心配はなさそうだな」
XSR900のシート高は830mm。
CBR1000RRのシート高は820mmなので、スペック上はSSよりシートが高いということになります。もちろんサスの硬さやシート形状も違うでしょうし、単純比較はできませんが。
ちなみにR1は855mm。理解できない。
僕は身長は173cmあって平均並なのですが、足が驚くほど短い。普段履くズボンは股下が69cm(追記:間違えていました。本当は股下76cmです)という点をお伝えするだけで、いかに短足かお判りいただけるでしょう。
そんな超短足な僕ですが、停車時はお尻を数cmずらすだけで片足がベッタリと着きます(※ライディングブーツを履いている時)。
両足ベッタリ?諦めましょう。
ただ、車重が195kgと軽量なので、取り回しと荷物の積み方にさえ気を付ければ問題ありません。
こういう積み方をしたらこけました。短足は二段積み禁止。
燃費
だいたい22km/L前後のような気がします(ちゃんと計算したことがない)。今時の大型車ならこんなもんなんじゃないでしょうか。ロンツーの時は、少しでも航続距離を伸ばすためにSTDモードにしています。
ツーリング性能
バッグ類の使用を前提で考えるなら、積載性に問題はありません。ただ、テールランプが絶妙に邪魔なところにあって、シートバッグを載せると干渉します。僕はシートバッグを積むときは、テールランプ上部に折り畳みまくったペーパータオルを被せて養生しています。
あと、積み方に気を付けないと重心が高くなって立ちゴケの憂き目に遭います(短足の宿命)。
それよりも問題は、航続距離じゃないでしょうか。タンク容量が14L、燃費がだいたい22km/L前後なので、見ず知らずの土地でのロンツー時は、走行距離が200kmを超えるとガソリンスタンドを探し始める感じです。
極端に航続距離が短いわけではありませんが、ツーリングライダーとしてはあと2Lタンク容量が大きかったらなぁと思います。
総評
パワー:
回せば危険なくらい速いが、回さなければ常識的な速さ。でもすぐに慣れる。
三気筒:
ドコドコドコドコドコドコドコドコドコ(ビュルルルルルルルルル)
乗り心地:
純正設定は足がガチガチなので要調整。車載工具とノギスがあればできる。最悪ノギスがなくてもできる。調整すれば普通に走る限り不満はない。
足着き:
平均身長の男性なら問題ない。ツーリング時は荷物の積み方に気をつけましょう。
燃費:
22km/L前後。
ツーリング性能:
積載はバッグ必須。航続距離は長くない。
大型は無駄か
過去に乗っていたSRは、遅いながらもエンジンと対話しながら走る楽しみがありました。セローは、オフ車じゃないと辿り着けない場所に連れて行ってくれました。
じゃあ、XSR、ひいては大型車の魅力は?僕は、それは「無駄の塊を所有する安心感」だと思います。
XSR900は11000rpmあたりからレッドゾーンになりますが、正直5000rpmでレブリミットがかかったとしても実用上全く困りません。4000rpm縛りでも多分普通にツーリングできるんじゃないでしょうか。
じゃあその余計な7000回転分は何なんだと聞かれると、その無駄さが安心感なんだと思います。ただの見栄っ張りだと言われればそうかもしれませんが、、、でも、そんな使い切れない性能が安心感に繋がっているのは事実だと思います。
たとえば、誰しもが貯金をします。それは何かあった時のためですが、仮に過去10年以上何も起こってなかったとしても、不安で貯金をすると思います。そして貯金があることで安心できます。もしくは、貯金でなく保険でも構いません。大型車の過剰な性能は、こういった貯金や保険と同じもののような気がします。
常人には使いきれない馬力、公道を常識的な速度で走っている限りは絶対に過剰なフレーム剛性や足回り、そして豪華な電子制御。これらのおかげで、SRなら恐怖を感じていた速度でも、XSRなら鼻歌を歌いながら走れます。
初大型にXSR、アリだと思いますよ
さすがに初二輪にXSR900はオススメしませんが、初大型ならXSRという選択肢はアリだと思います。116馬力のエンジンを積んでいて、しかも電子制御のおかげで400ccと同じような感覚で乗ることもできます。そして慣れればパワー全開だってボタン1つで可能。そんなバイクが100万円で買えるのです。
え、足つきが不安?
ご自身のズボンのタグを確認してください。股下が69cm(追記:76cmの間違い)以上あれば問題なく乗れますよ。