ゆっくり急げ

XSR900乗りが、バイクのこととかそれ以外のこととかを書くブログ。

カフェレーサーについて考える。

 

バイクのジャンルでカフェレーサーほど曖昧なものはないのではないでしょうか。人によってカフェレーサーの定義が結構異なり、以下のように派閥を分類できると思います。

 

原理主義
  • 過激派:50・60年代のイギリス製バイクで作ったものしかカフェレーサーと認めない。乗車時はもちろん当時物のルイスレザー。
  • 保守派:現代の車両でも構わないが、イギリス製でなければならない。
  • 主流派:メーカーや年代は問わないが、ベースはクラシック系で単気筒か並列二気筒でなければならない。
進歩主義
  • 主流派:年代・メーカー・エンジン形式問わず、ベースがネイキッドならカフェレーサー。
  • 自由派:ベースが何であろうと、セパハンとバックステップを入れたらカフェレーサー。
  • 過激派:カッコ良ければすべてカフェレーサー。

 

 

 

たとえばドリームCB400Fourは、wikipediaによればカフェスタイルとして発売されたそうです。

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が、、、「これはカフェか?」と僕は思ってしまいます。たしかに低めのコンチネンタルハンドルやバックステップを採用しているそうですが、現代人からすればこんなの普通のネイキッドじゃないでしょうか(暴言)。

 

 

原理主義者的には、やっぱりこういうのこそがカフェレーサーだと思います。

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バーチカルツインにダブルクレードルフレーム。狂ったような低さのセパハンと、和式便器やスリッパのようなシングルシート。

ところで、日本でカフェレーサーというとすぐにフェンダーを短くしたがりますが、イギリスは雨が多いので、昔のカフェレーサーはフェンダーは短くしなかったそうです。

 

 

 

以下はあくまで僕のカフェレーサー観。

単気筒でも二気筒でも構いませんが、美しいエンジンとダブルクレードルフレームは必須だと思います。かく言う僕も古典的カフェレーサーに憧れてSRをちょこちょこいじってはいましたが、、、

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かつて乗っていたSR400 

上記の点で、SRは古典的カフェにはなり得ません。ダブルクレードルじゃないし、なによりエンジンが美しくない。SRは出自がオフ車なので、エンジンの外見に美しさを求めることが間違っているかもしれません。

エストレヤは、エンジンは美しいけどシングルクレードル。そうなるとWくらいしか最近の国産車両で原理主義者が満足できるベース車はないような気がします。W800にロングタンクとシングルシート、バックステップ、セパハンを入れるだけでかなり古典的カフェレーサーになるのではないでしょうか。ロケットカウルもあれば最高ですね。

 

 

 

もう少し50・60年代のカフェレーサーについて考えてみたいと思います。

そもそもカフェレーサーは、当時のレースマシンを模した改造手法です。代表的で有名なレースマシンは、50年代のマンクスではないでしょうか。

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下側の写真はマンクスではなく、ヤマハの60年代のレース写真ですが。カフェレーサーがたまに付けている大仰なロケットカウルは、この時代のレース車両に由来しているわけです。 

こういったレース車両を模したバイクに乗って公道レースをしていたのがロッカーズ、そしてそのロッカーズが乗っていたのがカフェレーサーです。ロッカーズは現代的に言えば走り屋のような存在ですが、暴力的だったり反社会的だったりおクスリをキメていたりするので暴走族に近いかもしれません。

 

イギリスのバイクメーカーは60年代の終わり頃から日本勢にやられて倒産していきますが、カフェレーサー文化は世界中に広まっていきます。その流行にメーカーが乗っかり、最初に書いたドリームCB400Fourのように純正カフェレーサーとして発売されたバイクもあります。

 

ところで、日本にもロッカーズ / カフェレーサーの流れを汲む正統派が存在するのをご存知でしょうか

 

 

 

 

 

 

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この方々です。

日本の族車はイギリスのカフェレーサー、アメリカのチョッパー、日本のプレスライダーのそれぞれの改造手法を取り入れたものだと言われています。

たとえばどう考えても視界の邪魔にしかならないロケットカウルはカフェレーサーに由来していますし、三段シートはアメリカンによくある背もたれを模しているそうです。この写真の車両には付いていませんが、旭風防とかの布カウルはプレスライダーの真似だとか。

 

現代日本のカフェレーサーでロケットカウルを装着している車両はほとんどないと思います。それに対して族車のロケットカウル装着率は依然として高いでしょう。そして、こういうバイクに乗っている方々は、ロッカーズ同様反社会的な皆様ばかり。

 

ロッカーズの末裔は、ニッポンにいた。